こんにちはコバヤシです。
暗号資産市場において新たな投資戦略の潮流が生まれています。
収益を生み出すためにバランスシートにイーサリアムを追加する企業が増加しており、この動きはマイケル・セイラーが率いるMicroStrategyのようなビットコイン財務戦略を参考にしたものです。
世界で2番目に大きい暗号資産として、イーサリアム(ETH)は長い間ビットコインの影で機能してきました。
今回ステーブルコインの採用拡大や暗号資産に有利な法規制の後押しを受けて、今や多くの企業が注目する投資対象となっています。
この記事では簡単なイーサリアムの歴史と、上場企業がイーサリアムを投資対象として注目する理由について語っていきたいと思います。
イーサリアムの歴史:革新的なブロックチェーンプラットフォームの誕生
イーサリアムは2015年に正式にローンチされたブロックチェーンプラットフォームで、当時19歳だったヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏によって考案されました。

ヴィタリック・ヴテリン氏
ビットコインが単純な価値の転送に特化していたのに対し、イーサリアムは「スマートコントラクト」と呼ばれる自動実行契約機能を導入し、分散型アプリケーション(DApps)の開発を可能にした革新的なプラットフォームとして誕生しました。
2014年のICO(Initial Coin Offering)では約1,800万ドルを調達し、暗号資産業界史上最大級の資金調達として話題となった・・・といえばその凄さがなんとなくでもわかるかと思います。
その後、2016年のDAOハック事件を経てイーサリアムクラシックと分岐するなど、技術的・思想的な試練を乗り越えながら成長を続けてきました。
近年では、エネルギー効率の改善と拡張性向上を目指した「イーサリアム2.0」への移行を完了し、Proof of Stakeメカニズムの採用により、ステーキング報酬を通じた収益機会を投資家に提供するようになりました。
企業によるイーサリアム財務戦略の具体的事例
暗号資産マイニング企業であるビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ(BitMine Immersion Technologies)は6月下旬、イーサリアムをバランスシートに追加する計画を発表した。
同社の投資規模は当初の2億5000万ドル(約362億5000万円)を大きく上回り、現在は10億ドル(約1450億円)以上のイーサリアムを保有しています。
この積極的な投資戦略は投資家からの強い支持を受けており、
- ベンチャーキャピタリストのピーター・ティール(Peter Thiel)や
- アーク・インベスト(Ark Invest)のキャシー・ウッド(Cathie Wood)
がビットマインに投資を行った。
その結果、同社の株価は会社としての利益が出ていないにも関わらず、年初以来480%以上という驚異的な上昇を記録していて、この現象は、投資家が従来の収益性指標よりも暗号資産保有量を重視する新たな企業評価基準の出現をしめしていると考えられます。
SPAC上場と大規模イーサリアム投資計画
イーサリアムに特化した投資会社The Ether Machineは、SPAC(特別買収目的会社)のダイナミックス・コーポレーション(Dynamix Corporation)との合併を通じてナスダックに上場する計画を明らかにしました。
同社は約15億ドル(約2175億円)に相当する40万ETHの購入を予定しており、これは単一企業による史上最大級のイーサリアム投資となる可能性があります。
この大規模な投資計画は、イーサリアムの市場流動性と価格安定性に大きな影響を与えると予想され、他の機関投資家の参入を促進する触媒としての役割も期待されています。
SPAC上場という手法を選択することで、従来のIPOプロセスよりも迅速かつ柔軟な資金調達を実現し、暗号資産市場の急速な変化に対応できる体制を構築していると言われています。
イーサリアム財務戦略を採用する企業の拡大
イーサリアムをめぐる企業間の競争は激化しており、
- シャープリンク・ゲーミング(SharpLink Gaming)、
- ビッグデジタル(Bit Digital)、
- ゲームスクエア(GameSquare)
などの企業がイーサリアム財務戦略を相次いで採用しています。
これらの企業はそれぞれ1億ドル相当以上のイーサリアムを準備金として保有しており、暗号資産を企業の成長戦略の中核に位置づけている。
ファンドストラット(Fundstrat)の共同創業者でビットマインの会長を務めるトム・リー(Tom Lee)は、さらに野心的な目標として、供給されるイーサリアム全体の5%を取得してステーキングする計画を発表しました。
この目標が達成されれば、イーサリアムネットワークの分散化とセキュリティ強化に貢献するとともに、安定した収益源としてのステーキング報酬を継続的に獲得できる体制が作れるわけですね。
マイケル・セイラー戦略の模倣とその発展
これらの企業が採用している戦略は、MicroStrategyのマイケル・セイラー(Michael Saylor)が確立したビットコイン財務戦略を基盤としています。
具体的には、暗号資産を買い集め、その保有資産を担保に債権や株式を発行することで新たな資金を調達し、さらなる暗号資産購入に充てるという循環的な投資手法です。
セイラー戦略の成功は、企業の現金準備を減価する法定通貨で保有するのではなく、長期的な価値上昇が期待される暗号資産に転換することで、インフレヘッジとしての機能を果たすとともに、株主価値の最大化を図るという理論に基づいています。
この戦略をイーサリアムに適用することで、ビットコインでは得られないステーキング報酬という追加的な収益機会を活用できるという優位性があるのです。

マイケル・セイラー氏
ステーブルコインエコシステムの成長がイーサリアムに与える影響
企業のイーサリアムへの注目が高まっている背景には、ステーブルコインへの注目拡大が重要な要因として挙げられる。
ドナルド・トランプ大統領は7月、法定通貨などを裏付けにした暗号資産について政府が支援を行う「ジーニアス(GENIUS)法」に署名し、ステーブルコインの法的地位を明確化しました。
この法的整備により、USDCやUSDTなどの主要ステーブルコインが主にイーサリアムブロックチェーン上で運用されていることから、ステーブルコインを支えるブロックチェーンのネイティブトークンであるイーサリアムは7月に65%の価格上昇を記録しました。
ステーブルコインの取引量増加は、イーサリアムネットワークの利用度向上と手数料収入の増加をもたらし、長期的なネットワーク価値の向上に寄与しています。
このエコシステムの成長は、イーサリアムの基礎的価値を支える重要な要素として機関投資家からも注目されているのです。
積極的な運用戦略:バイアンドホールドを超えた収益最大化
The Ether Machineの共同創業者アンドリュー・キーズ(Andrew Keys)は、他の暗号資産財務戦略とは異なる独自のアプローチについて説明しています。
「我々は、バイ・アンド・ホールド(株式や債券を買い持ちしたまま、長期に保有する投資手法)型の運用会社ではない。我々はイーサリアムを積極的に運用し、リスクマネージしたリターンを生み出す組織だ」と彼はブルームバーグ・テクノロジーで語りました。
同社の戦略の中核となるのは、イーサリアムをステーキングすることで利益を生む計画であり、これは保有するETHをイーサリアムネットワーク上のトランザクション検証のための担保として提供し、その対価として年率約4-6%のステーキング報酬を継続的に獲得する仕組みです。
この手法により、単純な価格上昇に依存するのではなく、ネットワーク参加による安定した収益フローを確保できるため、投資リスクの分散と収益の安定化を同時に実現できる革新的な投資モデルとして注目されています。
イーサリアムの今後に注目していきたいところです。
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